ロック機構付きカートリッジキーパーを作る
最近レコードを聴く人が増えたからでしょうか、友人やレコード愛好家の方から収納本数の多いカートリッジキーパーを作ってほしいと言われます。高級感のあるモノはあまり市販してないようなのでハイグレードなパーツだけで構成して8本収納でデザインしました。
これは商品なのですが、便利な機能や製作上の面白い工夫がしてあるので工作人間で作業工程を紹介することにしました。
本花梨からベースを削り出します。裏はこのようにジョイントプレートを組み込む為、ポケットしています。2段にしている理由はあとで説明します。トンネル状の穴はL金具用です。本花梨の表面は粗く、エッジ部分の欠けもたくさんできます。欠けは復元し、粗い木目を埋めながら表面をヤスリで研いで家具のような表面仕上げにします。
この状態で天面は8割くらい仕上がっている感じです。段差の部分も木目を埋めて仕上げます。細い立ち壁も同様にヤスリがけします。ベースは直線形状なので 当て木を工夫して 面が歪まないようにきれいに仕上げます。
同一素材から切り出した板を比べてみます。オイルフィニッシュで仕上げた後は高級家具のように木目は埋まり表面は滑らかで赤く変化します。本花梨は目が粗く仕上げに時間がかかるのですがこのようにきれいに変化するので作っていて楽しいです。高級感もでますし。
ジョイントの受けのパーツです。メーカーならインジェクションで生産すると思いますが、自分で削るのでABS板から一体で削り出し、見える部分(リングの天面)を磨いて仕上げます。3箇所にタップを切り表からビス留めです。こうすればこのパーツをいたずらに厚くせずに済み、 シェルの向きも揃います。
ステンレスビスをヤスリをかけて磨いて共締めすれば強度も確保できるし、デザインとして生かせます。右写真はもう一つの工夫点 ロック機構です。L金具にタップを切り共締め。このようなパーツは表から取り付けるとデザインが台無しになってしまいます。
ジョイント穴から中が見えてしまうので化粧板を製作します。プラ板をカットして厚手のマーメイド紙をぴったり貼ります。色はあい色を選択。このプレートが浅い段差にはまります。
底板のアルミ板を削って木ネジで留めます。重量とサイドからの見映えを重視したのです。滑り止めに薄手の人工スエードをカットジグを作って切り出したら貼り付けます。
アルミプレートを削り出し、ロゴなどを彫刻したアルマイト板にラッカーの黒をスミ入れします。こういうところは印刷かレーザーが安くていいと思いますが高級感を重視してエンドミルで彫刻してます。取り付けも両面テープではなくビス留め。プレート形状にポケットして落とし込んであります。
穴の奥が鮮やかに青く見えてちょっと嬉しい気分です。写真からもマーメイド紙の発色の良さがわかると思います。これでベース部は完成です。
NCにセットするのはやや面倒な形状なので、アクリルケースのサイド穴はハンドドリルで開けました。細いドリルから順に太くしていけば割れずに済みます。アルミ補強プレートを削ったらケースの内側からM2でビス留めします。
こんな感じです。
最後にローレットネジで留めれば完成です。 ケース内は十分な余裕が あり交互に収納します。持ち上げられますので移動やお掃除も安全にできます。4本版も製作しました。
ちょっとやりすぎた感じもありますが高級感が出てよかったと思います。やっぱり木目が映える木材はいいですね。