ヴァリレラって何ですか?

 

ヴァリアブルリラクタンス型カートリッジ GEのヴァリレラ。

素敵な名前だなーとは思っていました。冬のリヴィエラみたいで。

何度か管球王国で読んだことあるけれど詳しくは知りませんでした。

先日、練馬のFさんから2つのヴァリレラをお預かりしました。ゴールドとシルバーのRPX-050。 ゴールドの方はゴールデン・トレジャーというそうです。

赤いノブが付いていて押し込むと竹とんぼのようなT字のバー(Tチャンネル)が回転してLPとSPの針が入れ替わります。別冊ヴィンテージアナログ2に詳細が書いてありました。なるほど。

Fさんのヴァリレラは、市販のシェルに穴を空けて取り付けてありました。これをなんとかしたいとおっしゃるのです。 このあいだお宅におじゃました時見せてもらったイケダのトーンアームで使いたいので重い方がいいということでした。

あのかっこいいアームにつけるにはちょっと見映えのする方がよさそうです。

ヴィンテージに詳しくない僕は、ヴァリレラ用のシェルは、売っていると思っていましたが、ヨドバシにはありませんでした。(あったら頼まないか) とにかく加工しやすくて重いオルトフォンのLH-4000を選びヨドバシで買ってきました。

指かけが取り外せ、形状がセットしやすいので追加工には最適だと思います。

それから重さ調整ができるようにウエイトを選択式にしました。DJ用のシェルみたいにです。

本体の加工

単純な形状ですけどシェルとカートリッジの3Dデータを製作して、ノブの干渉や針のスライド距離を確認して加工に入ります。

針位置は50~55ミリくらいで調整できるように楕円でカットしました。

楕円のエッジは0.3のC面をつけています。こうした方がかっこいいですから。ダイヤモンドカッターではなく、普通のボールエンドです。C面の幅がせまいので十分光って見えます。ノブに干渉しない位置にウエイト用のタップを切っています。

 

ローレットの加工

ウエイトのローレットネジを加工します。そのままではネジが長すぎたので2.5ミリカットして、ネジ山を切り直しておきます。

切りっぱなしではみっともないので、先端をヤスリで整え、3000番まで研いでコンパウンドで磨きます。

写真にはないですが、はずれない大きさのポリワッシャーをネジにはめてあります。本体にキズをつけないためです。

見え方はこんな感じです。

市販のネジは細かいキズがありそのままでは使えません。天面とC面をヤスリをかけて仕上げます

だからこのローレットネジはステンレス製を選んでいるのです。

荒いヤスリからはじめて3000~4000番くらいまで研いでコンパウンドで。必ずあて板を使って天面とC面は分けてヤスリをかけましょう。なんとなくヤスリをかけるときれいに仕上がりません。いきなりバフをかけてもやはりきれいにはなりません。

ウエイトは4gと2gで製作しました。

ナットを作る

ビス用のナットは左のようなリングタイプを使う人が多いと思います。ヴァリレラは、穴が深いのでとても使いづらいです。

右のようなトンネル形状のものを作りました。段差をつけているのは、スタイラスカバーに干渉しないようにです。

アルミで削り出しています。

このようにはまります。段差の高い部分に指がかかるのでネジをしめるのも簡単です。

 

 

ヴァリレラを使っている人がどれくらいいるかはわかりませんが、同じようなものを製作したい場合、図面を書いて町工場に持っていって頼んでみるのもいいでしょう。そこでやれなくても知り合いの工場や職人さんを紹介してくれることも多いですし。

こうしてFさんの2台分が完成しました。自分の分も作ろうかとも思いましたが、きっとヴァリレラを使うことは生涯ないだろうなと思い直し発送作業を終えました。